とりあえずビーコルで!

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Bリーグの弱っちぃ横浜ビー・コルセアーズの成長記録

新たな国への一歩 - タイとの国境越え

20. ラオスからタイへ、メコン川を越える旅


1. 国境越えの朝

ビエンチャンでの最後の夜を終えた翌朝、私はタイへ向かう準備を進めていた。次の目的地はタイのバンコクラオスとタイを隔てるメコン川を渡れば、異国の地に足を踏み入れることになる。これからの旅に対する期待感と同時に、ラオスを離れる名残惜しさも少し胸をよぎる。

バックパックを肩にかけ、宿を後にする。市内からタイとの国境にある友好橋へ向かうバスに乗り込んだ。バスの車内は静かで、同じように国境を越える旅人たちが、それぞれの目的地に思いを馳せているようだった。

2. 友好橋での国境越え

友好橋に到着すると、そこには想像以上の混雑が待っていた。旅行者だけでなく、仕事や買い物のために行き来する地元の人々も多く、国境は活気に溢れていた。手続きを済ませ、ラオス側のイミグレーションを通過。メコン川を渡り、橋の向こうに広がるタイの地が見えてくる。

橋を越える途中、私は川を眺めながら、このメコン川ラオスとタイを結びながらも分かつ象徴であることに思いを馳せた。同じ川の両岸に広がる異なる国。橋を渡るだけで、文化や言語、雰囲気が変わるという不思議な感覚が、旅の醍醐味をより一層感じさせる。

タイ側に到着すると、イミグレーションの職員が穏やかな笑顔で迎えてくれた。手続きを終えると、いよいよタイの地に足を踏み入れる。

3. タイの田舎町での一息

国境を越えた後、私はタイの最初の目的地である田舎町、ノンカイに向かうことにした。ここは、タイとラオスを結ぶ玄関口とも言える場所で、多くの旅人が通り過ぎるだけの町だ。しかし、私はこの町に少し滞在し、タイの地方の生活に触れてみたいと思っていた。

ノンカイに到着すると、街は思った以上に穏やかで静かだった。ラオスの雰囲気と似ている部分もあり、どこか懐かしさを感じる。小さな屋台が並ぶ通りで、私は一杯のパッタイを注文し、地元の人々の温かさに触れながら食事を楽しんだ。食材の香ばしさと、微妙に異なるタイの味付けが、ラオスとはまた違った文化の風味を感じさせてくれた。

4. バンコクへ向けての列車旅

ノンカイでの短い滞在を終え、私は次なる目的地、バンコクへ向かう夜行列車に乗り込んだ。列車のチケットを手に入れるのは少し手間がかかったが、地元の人々の助けもあり、無事に予約を完了。列車は定刻通りに出発し、私はタイの夜景を窓越しに眺めながら、静かに過ごすことにした。

夜行列車の揺れは心地よく、旅の疲れを癒してくれるようだった。隣の座席に座る地元の家族が、タイ語で何かを話している声が耳に心地よい。列車はゆっくりとタイの大地を進み、バンコクに向かって夜を駆け抜ける。

窓の外に広がる星空を見ながら、私は次なる冒険への期待に胸を膨らませた。バンコクではどんな出来事が待っているのだろうか。この旅はまだまだ続く。新たな出会いと発見が、私を待っているのだ。


次回は、バンコクでの冒険をお届けします。東南アジアの喧騒と静寂が混じり合う街、バンコクでの体験をどうぞお楽しみに!

 

 

夕暮れのビエンチャン、そして次の旅路へ

19. ビエンチャンでの最後の朝


1. 朝の静けさと別れの準備

ビエンチャンでの最後の朝が訪れた。窓の外から差し込む朝日が、穏やかに街を包み込んでいる。旅の疲れもすっかり取れ、次の目的地へ向かう期待が高まっていた。今日は、ビエンチャンでの最終日。少し名残惜しい気持ちを抱きながら、最後の散策に出かける準備を整えた。

カフェで朝食をとりながら、これまでの旅を振り返る。ラオスの豊かな自然、穏やかな人々、そしてこのビエンチャンの静けさが、私の心を癒してくれた。次に訪れる街でも、同じような心の安らぎを見つけられるだろうか。

2. 市場でのひととき

街の中心にある市場へと足を運んだ。市場は朝から活気に満ちていて、地元の人々が新鮮な野菜や果物、魚、肉などを手に入れようと賑わっている。ラオスの市場は、他の国とは少し違った雰囲気がある。売り手と買い手が親しげに話し合いながら、物々交換のように商品を手渡している光景は、どこか懐かしさを感じさせるものだった。

市場を歩いていると、目に飛び込んできたのは色とりどりの布が並ぶ屋台だ。前日に訪れた伝統工芸品の店で見たような、美しい織物がたくさん並んでいる。私はその中の一つを手に取り、織り込まれた模様に見入った。店主の女性が微笑みながら、その布がどのように作られたのか、そしてその模様に込められた意味を教えてくれた。ラオスの人々が大切にしている伝統と、その手仕事の素晴らしさに改めて感動した。

3. 川沿いでの別れの時間

市場を後にし、私はビエンチャンメコン川沿いを歩いた。川の流れは静かで、時折風が吹き抜ける。川沿いには地元の人々や観光客が集い、それぞれの時間を楽しんでいる。私は川辺のベンチに腰を下ろし、川を眺めながら、この旅の最後のひとときを過ごした。

メコン川は、ラオスの大地を支える生命線のような存在だ。その穏やかな流れは、これまで訪れた町々で感じたラオスの人々の優しさと同じように、私の心を穏やかにしてくれる。時間がゆっくりと流れ、次第に夕方が近づいてきた。

4. 新たな旅への出発

夕暮れ時、私はビエンチャンの街を見渡しながら、次の目的地へと向かう準備を始めた。夕日に照らされたビエンチャンの街並みは、まるで一枚の絵画のように美しい。その景色を胸に刻みながら、私は新たな旅立ちを決意した。

ビエンチャンでの時間は、穏やかで静かなものであり、旅の中でも特に心に残るものとなった。この街で過ごした日々が、私の旅にとってどれほど大切なものだったかを、改めて実感している。

次の目的地では、どんな出会いや発見が待っているのだろうか。期待と少しの不安を胸に抱きながら、私はビエンチャンを後にすることにした。


次回は、ラオスを離れ、新たな国での冒険をお届けします。これからも引き続き、お楽しみください!

 

ビエンチャン、時が止まる街

第十八章: 穏やかなビエンチャンの朝と静寂の中で


ビエンチャンで迎える穏やかな朝。仏塔の黄金色の輝きが目に焼き付き、パトゥーサイ門から見た静かな街の風景が心に深く刻まれている。旅の疲れも少しずつ和らぎ、次の目的地に向かう準備を心の中で整えていた。

午前中、私はビエンチャンの街をさらに散策することにした。ラオスの首都であるこの街は、他のアジアの大都市とは一線を画している。ここには高層ビルもなく、喧騒も聞こえない。代わりに、古い建物と新しい建物が調和するように並び立ち、どこか懐かしさと新しさが混在する景色が広がっていた。

道を歩いていると、ふと目に留まったのがラオスの伝統工芸品を扱う小さな店だった。店内に入ると、鮮やかなシルクの織物、手作りの陶器、精巧に彫られた木彫りの仏像などが所狭しと並べられていた。これらの品々は、ラオスの文化と歴史を感じさせるものであり、私はその手仕事の美しさに思わず見入ってしまった。

特に目を引いたのは、鮮やかな色彩と複雑な模様が施されたシルクのスカーフだった。店主は笑顔でそのスカーフについて語り始め、ラオスの北部に住む少数民族が伝統的な技法で織り上げたものであることを教えてくれた。その言葉を聞きながら、私はこのスカーフが持つ物語と、ラオスの大地で育まれた文化に思いを馳せた。

店を出た後、私はビエンチャンの中心部に向かい、カフェで一息つくことにした。カフェのテラス席からは、通りを行き交う人々が見え、彼らの穏やかな暮らしぶりが伝わってくる。コーヒーの香りと共に、ラオスでの新たな一日が始まる喜びが胸に広がった。

カフェで過ごす時間は、ビエンチャンの静寂と穏やかさを感じるひとときだった。私は旅の計画を思い返しながら、ここでの時間をもっと楽しもうと決意した。ビエンチャンには、まだ私が知らない魅力がたくさん詰まっているはずだ。

午後、私はビエンチャンの郊外にある「ワット・シーサケット寺院」を訪れることにした。タクシーで向かう途中、窓から見える景色はますます自然豊かになり、緑が目に優しい。寺院に到着すると、その荘厳な佇まいに圧倒された。ワット・シーサケット寺院は、ラオスで最も古い仏教寺院の一つであり、歴史的な価値が高い。

寺院の中庭には、数千体の小さな仏像が並べられており、それらが見守るように建物を囲んでいる。静寂の中、私はその一つ一つに手を合わせ、ラオスでの旅がこれからも安全で充実したものになるよう祈った。仏像たちは、何百年もの間、ここで訪れる人々を見守り続けてきたのだろう。その時間の重みと静けさが、私の心を深く打った。

ビエンチャンの街に戻ると、夕暮れが訪れていた。街の光が少しずつ灯り始め、昼間の穏やかな表情とは違った一面が見えてくる。私は再びカフェに戻り、日が沈むまでの短い時間を静かに過ごした。明日には、さらに新しい冒険が待っている。しかし、ビエンチャンのこの静かな夜は、私にとって特別なものとなった。

 

 

次回は、ビエンチャンでの最後の日をお届けします。さらに深まるラオスの魅力と、新たな発見をどうぞお楽しみに!

 

異国の街角にて

第十七章: 新たな旅路、ラオスへの道

ハノイでの滞在を終え、次なる目的地へと旅立つ日がやってきた。私が次に目指すのは、ベトナムと国境を接する国、ラオス。多くの旅人がベトナムからラオスへはバスで移動するが、私もその方法を選んだ。長距離バスでの旅は決して快適とは言えないが、その道中で得られる経験や、訪れる国の景色を間近に感じられることに期待が膨らんだ。

 

早朝、ハノイのバスターミナルに向かい、ラオス行きのバスに乗り込んだ。バスはゆっくりと発車し、ハノイの街並みを後にして、郊外の風景へと移り変わっていった。車窓から見える田園風景は、ハノイの喧騒とは対照的に、穏やかで美しい。水田が広がり、その中を農夫たちが働く姿が見える。私はその光景に心を癒され、しばらくの間、窓の外を見つめていた。

 

バスは何時間も走り続け、昼過ぎには国境に到着した。ベトナムからラオスへの国境越えは、手続きが少し煩雑だと聞いていたが、実際にその場に立つと、少し緊張感が漂う。国境の管理官にパスポートを渡し、手続きを進める間、私は他の旅行者たちと一緒に並びながら、その場の雰囲気を味わっていた。

 

無事に国境を越え、バスは再び動き出した。ラオスに入ると、風景はさらに変わり、山々が連なる美しい自然が広がった。ラオスベトナムとは異なり、より田舎で手つかずの自然が多く残されている国だ。その静かな山々の景色は、私にとって初めて見るものばかりで、思わず息を呑んだ。

 

バスの旅は長く、途中で何度か休憩を挟んだ。休憩場所では、地元の小さな市場が開かれており、そこで売られているフルーツやスナックを買い求めた。特に、ラオスの特産品であるモン族の織物や、手作りの土産物が並ぶ露店が目を引いた。旅の記念に、私は小さな布製のバッグを購入した。そのシンプルなデザインと、鮮やかな色使いがラオスらしい。

 

夜も更け、バスはラオスの首都ビエンチャンへと近づいていった。到着は深夜になる予定だが、初めて訪れるこの国に対する期待と興奮が私の中で高まっていた。道中の疲れを感じながらも、新たな土地での冒険に心が躍る。

 

ビエンチャンに到着した私は、まず宿を探すことにした。深夜の街は静かで、昼間とは違った雰囲気が漂っている。タクシーを捕まえ、事前に調べておいたゲストハウスへと向かった。ゲストハウスに到着し、チェックインを済ませると、すぐに部屋に入ってベッドに倒れ込んだ。長い旅路を終えた体は疲れ切っていたが、それでも新しい土地に立った喜びが胸に広がり、なかなか寝付けなかった。

 

翌朝、早く目が覚めた私は、ビエンチャンの街を探索することにした。初めてのラオスの朝、空気は澄み渡り、穏やかな日差しが街を包んでいる。私はまず、ビエンチャンの象徴とも言える「パトゥーサイ門」へ向かった。フランスの凱旋門を模したこの建物は、ラオスの独立を記念して建てられたもので、街の中央に堂々と立っている。

 

パトゥーサイ門に到着すると、その荘厳な姿に圧倒された。門の上に登ると、ビエンチャンの街並みが一望できた。ラオスの首都とは言え、ビエンチャンは小さく、のんびりとした雰囲気が漂っている。私が見下ろす街は、まるで時間が止まったかのように静かで、心が安らぐようだった。

 

次に私は、「タート・ルアン」を訪れることにした。タート・ルアンは、ラオスで最も重要な仏教寺院であり、その黄金の仏塔はラオスの象徴とも言える存在だ。寺院の周りには静けさが漂い、訪れる人々は皆、その荘厳さに心を打たれていた。私は仏塔の前で手を合わせ、ラオスでの旅の無事を祈った。

 

その後、ビエンチャンの市場を訪れ、地元の料理やお土産を楽しんだ。特に、ラオスの「ラープ」と呼ばれる伝統的なサラダは、酸味と辛味が絶妙に混ざり合い、私の舌を楽しませてくれた。市場の活気に溢れる雰囲気の中、私は旅の疲れを忘れ、ラオスでの新しい冒険に心を躍らせた。


次回は、ラオスでの旅の続き、ビエンチャンの探索と、さらなる冒険をお届けします。どうぞお楽しみに!

 

異国の街角にて

第十六章: ハノイの夜と別れ

ハノイでの旅もいよいよ最終日を迎えた。私は宿をチェックアウトし、再びホアンキエム湖の近くを歩くことにした。夕暮れが近づくと、湖畔の街灯がぽつぽつと灯り始め、街全体が温かな光に包まれていく。この時間帯、湖の周りには散歩する人々や、ベンチに座って語らうカップルたちが集まり、賑わいを見せていた。

私はしばらく湖畔を歩き、風景を楽しんでいたが、その後、ふと「水上人形劇場」の看板が目に留まった。ベトナムの伝統的な芸能である水上人形劇は、長い歴史を持ち、そのユニークな演出が観光客の間でも人気だ。せっかくの機会なので、私はその劇場に足を運び、一つの公演を観ることにした。

劇場に入ると、まず目に飛び込んできたのは小さな池のような舞台だった。その舞台の上で、操り人形が水上で踊り、物語を紡いでいく。この水上人形劇は、古代ベトナムの農村で雨季に行われた田植えの儀式から発展したもので、村人たちが水田の中で人形を操り、神話や伝説を演じたことに由来するという。

劇場の照明が落とされ、演目が始まると、観客は一瞬でその世界に引き込まれた。人形たちは水の上を滑るように動き、まるで生きているかのように物語を展開していく。背景には、伝統的な音楽が流れ、演奏者たちの力強い声が物語を彩る。私はその情景に魅了され、しばし時を忘れて見入ってしまった。

公演が終わり、劇場を出た私は、再び街の喧騒に戻った。夜のハノイは、昼間とは違った表情を見せる。通りにはネオンの光が溢れ、人々の声やバイクの音が交錯する。市場や屋台も、夜遅くまで賑わいを見せており、その活気に誘われて、私は通りを歩き続けた。

途中、ふと立ち寄った小さなカフェで、私はベトナム風のアイスコーヒーを注文し、窓際の席に座った。外の通りを眺めながら、冷たいコーヒーの苦味と甘さが混ざり合う味を楽しんでいると、ふとハノイでの出来事が走馬灯のように思い出された。ここでの経験は、私にとって何か特別な意味を持つように感じられた。ベトナムの豊かな文化と人々との交流が、私の旅を一層深いものにしてくれたのだ。

その時、店内にいた一人の老人が私の席に近づいてきた。彼は穏やかな笑顔を浮かべ、ベトナム語で何かを話しかけてきた。私は言葉が分からなかったが、彼の優しげな表情からは、何か温かいものを感じ取ることができた。老人は私に手を振り、また席に戻っていった。その姿を見送りながら、私は旅の最後にこんな不思議な出会いがあることに、心がじんわりと温まった。

ハノイの夜は更けていき、私は旅の終わりを感じながら、ゆっくりとコーヒーを飲み干した。明日は次の目的地に向かうための出発の日だ。ハノイでの思い出を胸に、私はこの街に別れを告げる準備を進めた。

 


次回は、新たな旅路へと続きます。ベトナムを離れ、次の国へと向かう物語をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

 

異国の街角にて

第十三章: ハノイの迷宮

夜行バスに揺られ、私はホーチミンから北上し、ベトナムの首都ハノイへとやって来た。長い道のりを経てたどり着いたこの都市は、東洋の魅力とフランス植民地時代の名残が交錯する独特の雰囲気を持っている。

ハノイに到着した私は、まずホアンキエム湖の近くにある宿に向かうことにした。早朝のハノイはまだ静かで、湖面に浮かぶ霧が幻想的な風景を作り出していた。通りを歩くと、早起きした地元の人々が湖畔で太極拳をする姿が見られ、静かな朝の空気に心が落ち着いた。

荷物を宿に置いた後、私はホアンキエム湖を散策しながら、街の風景を楽しんだ。湖の中央には、赤い橋で繋がれた小さな島があり、そこに建つゴッティック様式の「玉山祠」が、観光客や地元の人々を迎えていた。この祠は、ベトナムの伝説的な英雄・陳氏泰と、中国の儒教の神・関羽が祀られており、その神秘的な雰囲気が多くの人々を惹きつける。

湖畔を歩いていると、街の中心地である「旧市街」に足を運びたくなった。旧市街は、36の通りが迷宮のように入り組んでおり、それぞれが異なる名前と特色を持っている。例えば、銀器を売る通り、布を売る通り、竹製品を扱う通りなど、名前が示す通りに様々な商品が並ぶ。その中でも、「ハンガイ通り」は、地元の工芸品やお土産が多く揃っており、観光客にとっても魅力的なスポットだ。

通りを歩きながら、私は一つのお店に立ち寄った。そこでは、伝統的なベトナムの「アオザイ」や、手刺繍の美しいポーチが販売されていた。お店の女性店主は、優しい笑顔で私に商品を勧めてくれた。彼女の親切心に惹かれ、私は手刺繍のポーチを購入することにした。それは、私にとってこの街の思い出を象徴する一品となった。

旧市街を歩き回るうちに、いつしか昼時となり、私は小腹が空いた。そこで、地元の人々に混じり、通り沿いの屋台でフォーをいただくことにした。屋台の椅子に腰掛け、香ばしい香りが漂うスープを一口すすった瞬間、疲れた体に活力が戻るのを感じた。この屋台での食事は、旅行の醍醐味である地元の人々との交流を楽しむひと時でもあった。

第十四章: ハロン湾の風

ハノイでの滞在の中で、私は日帰りでハロン湾を訪れる計画を立てた。ハロン湾ユネスコ世界遺産にも登録されており、数千もの石灰岩の奇岩が立ち並ぶ風景が特徴だ。観光の名所でありながら、その自然の壮大さと静けさに多くの旅行者が魅了される。

ハノイからバスで約3時間の道のりを経て、私はハロン湾に到着した。港に着くと、そこには数多くの観光船が停泊しており、これから出航する準備をしていた。私は一隻の観光船に乗り込み、湾内を巡るクルーズツアーを楽しむことにした。

船が出航すると、目の前には絵に描いたような風景が広がった。透き通るような青い海と、そこから突き出た奇岩が創り出す景色は、まさに絶景だった。船のデッキに立ち、風を感じながらその風景を見渡すと、心が洗われるような気持ちになった。

クルーズ中、私は観光ガイドからハロン湾の伝説について話を聞く機会があった。「ハロン」とは「降りるドラゴン」を意味し、古代ベトナムの人々がこの湾に住んでいたとされる伝説の竜によって、この地形が形成されたとされる。ガイドの話に耳を傾けながら、私は自然が創り出す奇跡を間近に感じることができた。

船が島々を巡りながら進む中、私たちは途中で洞窟の見学をするために一時停泊した。私が訪れた洞窟は、「驚きの洞窟」と呼ばれる「ソンドン洞窟」だった。洞窟の内部には、自然が作り出した壮大な鍾乳石が数多くあり、ライトアップされたその姿は幻想的だった。ガイドが持つ懐中電灯で照らされた壁面には、様々な形の鍾乳石が浮かび上がり、その一つ一つが異なるストーリーを語っているようだった。

洞窟から船に戻り、ツアーは更に進んでいった。午後になると、船のデッキでベトナムの伝統的な昼食が振舞われた。新鮮な海の幸が盛りだくさんで、その美味しさに私は舌鼓を打った。特に、蒸しエビと揚げ春巻きは絶品で、ベトナム料理の豊かさを改めて感じさせてくれた。

ハロン湾のクルーズが終わりに近づく頃、私はデッキに座りながら夕暮れの景色を眺めた。太陽が沈むにつれて、空はオレンジ色に染まり、海と空の境界が溶け合っていく。まるで絵画のようなその光景に、私はしばし言葉を失った。この美しい瞬間を心に刻み込み、私は再びハノイへの帰路に就くことにした。

異国の街角にて

第十章: ホーチミンの喧騒と静寂

カンボジアシェムリアップを後にし、私はベトナム南部の都市、ホーチミンへと向かうことにした。かつてはサイゴンと呼ばれたこの都市は、ベトナムの商業と文化の中心地として、活気に満ちている。

ホーチミンタンソンニャット国際空港に到着すると、さっそく町の熱気が肌に感じられた。空港から市内へ向かうタクシーの車窓には、色とりどりのバイクが走り、その喧騒がベトナムのエネルギーを象徴しているようだった。あらゆるところにカフェや屋台が並び、地元の人々と観光客が交錯する様子に、この街の活気を感じた。

まず、私は宿を予約した1区の中心部へと向かった。ホーチミンの1区は、高層ビルやショッピングモール、歴史的建造物が混在するエリアであり、多くの観光スポットが集まっている。宿に荷物を置き、さっそく街歩きを始めた。

ホーチミンでの最初の目的地は、統一会堂だ。かつての南ベトナム政府の大統領官邸であり、現在は博物館として一般公開されている。ベトナム戦争の歴史を物語るこの建物は、ホーチミンの歴史を知る上で欠かせないスポットだ。私はその荘厳な建物の中を歩きながら、ベトナム戦争の激動の歴史に思いを馳せた。特に、地下にある戦時中の指令室は、当時の緊迫した空気を感じさせる場所だった。

その後、私はベンタイン市場を訪れることにした。ベンタイン市場は、ホーチミンで最も有名なマーケットであり、食料品から衣類、土産物まで、何でも揃っている。市場の中を歩くと、熱気に包まれた中でさまざまな匂いと音が溢れ出し、私を圧倒した。特に、フードコートで食べたフォーは、あっさりとしたスープと豊かな香りが絶品だった。ベトナム料理の魅力を改めて感じさせてくれる味だった。

市場を後にし、私はホーチミン市民劇場へと向かった。フランス植民地時代に建てられたこの劇場は、美しい外観が特徴で、オペラハウスとしても利用されている。夜になるとライトアップされ、その姿は一層際立つ。私はその前でしばし立ち止まり、ホーチミンの夜景を堪能した。

劇場の近くには、ホーチミン市博物館もある。ここでは、ベトナムの歴史や文化について多くの展示が行われており、私もその一部をじっくりと観察した。特に、ベトナム戦争中に使用された兵器や当時の生活様式が紹介されているコーナーは、歴史の重みを感じさせるものだった。

夕方、私はドンコイ通りを歩いた。この通りは、ホーチミンのメインストリートの一つであり、ショッピングやカフェ巡りに最適な場所だ。通りを歩いていると、古いフランス風の建物とモダンなビルが共存しており、時代の変遷を感じさせる。私は途中で立ち寄ったカフェで、ベトナムの伝統的なエッグコーヒーを注文した。甘いエッグクリームと濃厚なコーヒーが絶妙に絡み合い、その独特な味わいに感動した。

その晩、私はバクダン通りのナイトマーケットを訪れた。市場には数多くの屋台が並び、地元の人々や観光客で賑わっている。私はベトナム風のバインミーを手に取り、歩きながら夜の喧騒を楽しんだ。サクサクのフランスパンに新鮮な野菜と肉が詰まったバインミーは、ベトナムのストリートフードの代表格であり、その美味しさに思わず笑みがこぼれた。

第十一章: カオダイ教の聖地

ホーチミンでの滞在を満喫した後、私は次にカオダイ教の聖地として知られるタイニン省へ向かうことにした。ホーチミンからバスで約2時間の場所に位置するこの地には、カオダイ教の大本堂があり、その独特な宗教文化を体験することができる。

タイニン省に到着すると、私はさっそくカオダイ教の大本堂へ向かった。この宗教は仏教、キリスト教儒教など、様々な宗教の教えを融合した独特の教義を持ち、その建築様式も非常にユニークだ。カラフルな装飾が施された大本堂は、一見すると宗教施設とは思えないほどの派手さで、訪れる者を驚かせる。

私が訪れた時、ちょうど礼拝が始まるところだった。信者たちは白い服を身にまとい、厳かに祈りを捧げていた。その様子を静かに見守りながら、私はカオダイ教の神秘的な雰囲気に包まれた。

大本堂の内部は、さらに圧倒的だった。壁や天井には、色とりどりの神々やシンボルが描かれており、まるで異世界に迷い込んだかのようだ。私はその場に立ち尽くし、宗教の持つ力と、人々の信仰の深さを感じずにはいられなかった。

その後、私はタイニンの町を少し歩き、地元の人々と触れ合う時間を持った。カオダイ教の信者たちはとても親切で、私に教義について詳しく説明してくれた。彼らの話を聞く中で、この地に根付く宗教の力強さと、それを支える人々の熱意に感銘を受けた。

帰りのバスでホーチミンに戻る途中、私はこの旅がどれほど多くの学びをもたらしてくれたかを実感した。異国の地で触れる文化や歴史は、自分自身を見つめ直す貴重な機会であり、それが旅の醍醐味でもあるのだ。

第十二章: 新たな目的地へ

ホーチミンでの滞在も終わりが近づき、次の目的地へと向かう時がやってきた。私はベトナムの北部、ハノイへと向かうことに決めた。そこには、また新たな冒険と出会いが待っている。

ホーチミンを後にする日、私は再びバスに乗り込んだ。次なる目的地での発見を胸に抱きながら、旅の道を進む。これからも続く旅路の中で、どんな風景や出会いが私を待っているのか、それを知ることができるのは、旅を続ける者だけだ。

次回はハノイでの冒険をお届けします。どうぞお楽しみに!

 

 

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