20. ラオスからタイへ、メコン川を越える旅
1. 国境越えの朝
ビエンチャンでの最後の夜を終えた翌朝、私はタイへ向かう準備を進めていた。次の目的地はタイのバンコク。ラオスとタイを隔てるメコン川を渡れば、異国の地に足を踏み入れることになる。これからの旅に対する期待感と同時に、ラオスを離れる名残惜しさも少し胸をよぎる。
バックパックを肩にかけ、宿を後にする。市内からタイとの国境にある友好橋へ向かうバスに乗り込んだ。バスの車内は静かで、同じように国境を越える旅人たちが、それぞれの目的地に思いを馳せているようだった。
2. 友好橋での国境越え
友好橋に到着すると、そこには想像以上の混雑が待っていた。旅行者だけでなく、仕事や買い物のために行き来する地元の人々も多く、国境は活気に溢れていた。手続きを済ませ、ラオス側のイミグレーションを通過。メコン川を渡り、橋の向こうに広がるタイの地が見えてくる。
橋を越える途中、私は川を眺めながら、このメコン川がラオスとタイを結びながらも分かつ象徴であることに思いを馳せた。同じ川の両岸に広がる異なる国。橋を渡るだけで、文化や言語、雰囲気が変わるという不思議な感覚が、旅の醍醐味をより一層感じさせる。
タイ側に到着すると、イミグレーションの職員が穏やかな笑顔で迎えてくれた。手続きを終えると、いよいよタイの地に足を踏み入れる。
3. タイの田舎町での一息
国境を越えた後、私はタイの最初の目的地である田舎町、ノンカイに向かうことにした。ここは、タイとラオスを結ぶ玄関口とも言える場所で、多くの旅人が通り過ぎるだけの町だ。しかし、私はこの町に少し滞在し、タイの地方の生活に触れてみたいと思っていた。
ノンカイに到着すると、街は思った以上に穏やかで静かだった。ラオスの雰囲気と似ている部分もあり、どこか懐かしさを感じる。小さな屋台が並ぶ通りで、私は一杯のパッタイを注文し、地元の人々の温かさに触れながら食事を楽しんだ。食材の香ばしさと、微妙に異なるタイの味付けが、ラオスとはまた違った文化の風味を感じさせてくれた。
4. バンコクへ向けての列車旅
ノンカイでの短い滞在を終え、私は次なる目的地、バンコクへ向かう夜行列車に乗り込んだ。列車のチケットを手に入れるのは少し手間がかかったが、地元の人々の助けもあり、無事に予約を完了。列車は定刻通りに出発し、私はタイの夜景を窓越しに眺めながら、静かに過ごすことにした。
夜行列車の揺れは心地よく、旅の疲れを癒してくれるようだった。隣の座席に座る地元の家族が、タイ語で何かを話している声が耳に心地よい。列車はゆっくりとタイの大地を進み、バンコクに向かって夜を駆け抜ける。
窓の外に広がる星空を見ながら、私は次なる冒険への期待に胸を膨らませた。バンコクではどんな出来事が待っているのだろうか。この旅はまだまだ続く。新たな出会いと発見が、私を待っているのだ。
次回は、バンコクでの冒険をお届けします。東南アジアの喧騒と静寂が混じり合う街、バンコクでの体験をどうぞお楽しみに!